write by 垣本
『お金を払い、物を得る』という消費行動。
単純な日常の行為であるが、その単純なやり取りを掘り下げてみるととても面白い。
ある日の日常の買い物、外出先で感じた出来事と共に、『単なる消費行動』から見える地域社会での可能性について話していきます。壮大…(笑)
僕は、必要以上のものを買わない、消費に対してミニマルなスタンスをとっています。
かといってワンルームに机ひとつで生活するようなミニマリストを目指しているわけではありません。
必要以上なもの、不要になるような物は買わない。だけど「是非欲しい!」と思ったものは買うことにしています。
そうして手にしたものは愛着を強く感じ、長くずっと気に入って使えるような気がします。
その「是非欲しい!」と感じるものって何だろうと考えてみると、単に「物が欲しい」のではないのだと気付きました。
~知り合いに教えてもらった料理屋さんに行ったときの話~
ビストロで創作料理をアラカルトでいただけるお店へ行った。
美味しそうなアラカルトを5つほど注文した。
お酒が好きなので、料理と一緒に注文しようとメニューをみる。
ワインが飲みたいと思ったが種類や特徴なんて正直分からない。
せっかくだし、料理に合わせて店主さんにお任せしてみた。
すると、出てくる料理ごとに店主さんが
「このワインはねぇ、この料理に最高に合うんですよ!」
と活き活きしている。
さらに楽しそうに『料理についての思い』や『食材の特徴』などを丁寧に説明してくれ、最高の時間を過ごすことができた。
なんだかホクホクした不思議な高揚感を得て店を出ながら、考えてみるとあることに気がついた。
"ああ、僕はただ美味しい料理とお酒を求めていただけではなく、美味しい料理とお酒の中にある店主さんの思いを感じる時間を求めていたんだ。"
また、別の日の
~コーヒー豆を買いに行ったときの話~
今までは自宅近くのロースターへコーヒー豆を買っていたのですが、少し別のところに行ってみようと知り合いに教えてもらったロースターへ行くことにした。
試飲をさせてもらいながら豆の特徴、店主の好みや僕の好みについて少しの間話した。
「最近は浅煎りに興味があってー。」
「それならこんな豆がありますよ。浅煎りだと豆自体の特徴が分かりやすくていろんな好みが見つかると思いますよ!」
「浅煎りの淹れ方でコツってあるんですか?」
「淹れ方の冊子あるんで入れておきますね!」
今まで買っていたお店の店主さんは、淡々と仕事をしていて話をする隙など与えてくれませんでした。
それもあって、これまでコーヒー豆について気になってたことやその店のこだわりを知れると「またここで買いたい!」と感じました。
この2つの体験は自分が何を価値として捉えて消費をするのか、という指標に気づくとともに、生活の豊かさについて教えてくれるきっかけとなった。
さらにはこうした価値観は地域社会を動かす大きな手掛かりだと確信した。
チェーン店や大衆受けする商品は、便利であったり一定の安心を保証してくれる存在として非常に助かるものではある。
だけれどもそうしたお店で溢れたまちになることを僕は求めていない。
さらには消費者である僕たちが、地域にあるお店に大衆受けするサービスを求めるのはとても危険である。
なぜなら、地域の独自性やユニークな人たちを創出するための機会を奪っているからである。
だがしかし、現実はこんな会話をよく耳にする。
「ここのお店ではコーヒー500円もするの?あそこのコンビニなら100円だよ!」
「あそこのランチはドリンク別料金だったよ。ここの店はドリンク付きでこの値段なのに。」
注文して自分でボタンを押して手に入れるコンビニコーヒーには、どこのコーヒー豆を使っていることや美味しさを第一には求めていない。
手軽に得られる『便利さ』を買っている。
また、お店側も他商品の購買への導入としてコーヒーを売っている。
一方で、コーヒーショップで買うコーヒーは『店主との会話から得る知識やこだわりについての思いへの共感』を買っていると自覚している。
ランチが少し高い店では、もしかしたらお客さんが過ごす空間や場所の設えに付加価値を見込み、料金に含んでいるかもしれない。
どちらかを比べて優劣をつけるわけではないし、別に高いから良いものである、安いから悪いんだということを伝えたいわけではない。
僕たちがお金を払っている理由や商品に対する価値を、いろんな角度から見る。
それができれば、商品の一歩先の『思い』や『共感』について考えるきっかけになるし、その考えは地域社会における『強いこだわりを持った店主の活躍』や『地場の産業への関心』、『地域問題への関心』へと進んでいくのではないかと強く思う。
弊社賑わい創造事業部が掲げるスローガン
『大垣を日本一面白いまちにする』
この目標に向けて、まず自分自身が地域にある価値ある資源や産業について発信、共感を得られるメディアになりたいなと思った。